PISA金融リテラシークイズ 請求書①
いきなりですが問題です。
次の請求書をみて、正しい選択肢を選んでください。
OECDテスト「PISA」とは
調査対象は15歳児で、日本も参加しています。2000年に始まり、以後3年ごとに実施しています。
調査では金融リテラシーのほか読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの四分野を中心に実施していますが、日本では金融リテラシーを除く3分野の調査を実施しています。
テストを分類して蓄積する
PISA金融リテラシー問題の分類(カテゴリ)③プロセス別
PISAとは、OECDが世界の15歳を対象に実施している能力評価テストです。
その科目のひとつ「金融リテラシー」を、PISA金融リテラシーと呼ぶことにします。
さて、PISA金融リテラシーでは問題のカテゴリを「分野別」、「場面別」、「プロセス別」の3つに分けています。
金融とひとことでいっても、コンビニの買い物から世界経済情勢や金銭的道徳まで幅広い領域をカバーしています。
PISA金融リテラシーではどのようなテーマを問題として取り扱うんでしょう?
世界基準で求められている金融リテラシーの分類を把握しておけば、ふさわしい副教材のアイデア整理にもなることを期待して。
今回は「プロセス」について取り上げます。
以下はPISA公式ページの紹介文を和訳したものになります。
誤訳はご指摘いただければ幸いです。
① 情報の認識
「情報の認識」では、各個人が調査を行い、情報を入手し、情報の関連性を認識するときに関連する。
ここでの「情報」の形態は、契約書、広告、グラフ、表、記入用紙や取扱説明書といった印刷物の文字である。
代表的な問題例として、請求書の特徴を問う、銀行取引明細書の残高確認を行う、が挙げられる。
② 情報の分析
「情報の分析」では、与えられた情報の解釈、比較、対比、合成、推定について取り扱う。
明示されていない事柄の認識、すなわち前提条件や金融上の問題の意味合いの認識も含まれる。
例として、異なる携帯電話契約の条件を比較する、ローン広告が暗黙の条件を含んでいそうかどうかを分析する、が挙げられる。
③ 問題の評価
「問題の評価」では、特定の場面における金融の知識や理解を利用し、金融上の正当性を認識または論考することについて取り扱う。
同様に、説明、評価、一般化も含まれる。加えて、金融に関する問題について考えをまとめるため、知識、論理、そしてもっともらしい根拠を利用するといった批判的思考(クリティカルシンキング)も含まれる。
④ 知識と理解の応用
「知識と理解の応用」では、金融の商品や場面についての知識、および金融概念の理解を利用して、金融上の環境に効率的に対処することに着目する。
このプロセスは、複数の条件を考慮しながら計算や問題解決を含む課題に反映される。
課題例として、2年間で発生するローンの利子を計算する、モノの値段が変化したときに購買力が上がるのか下がるのかを考える、が挙げられる。
【FinTech】生活がどう変わるのか-最新本3冊を読んで
最近、といっても1年くらい前からか、FinTechなるバズワードをしょっちゅう見かけます。
金融機関に勤める者として、そろそろ「FinTech」なるものを自分の頭できちんと整理しないとヤバいと思い始めました。
さっそく職場の近くにある大型書店にいってきたら、入ってすぐのところで大々的にFinTech推しをやっていたので、平積みの3冊を購入。
買ったのは以下の3冊
②FinTech 2.0ー金融とITの関係がビジネスを変える
この記事では3冊すべてではなく、ある程度内容を絞って紹介します。
なぜなら3冊読んで分かりましたが、同じような表紙をしている割には内容に結構差があったんです。
考えてみれば著者のスタンスが異なるため、それぞれの著者が伝えたいFinTechの魅力というものがあるということです。ちなみにベン図で表すとこんな感じ。
今回は赤枠の部分、すなわち①の本を紹介します。
コアの部分と消費者目線の部分です。
というのは、3冊の共通部分(コア部分)こそがFinTechでもっとも知っておくべき知識だと思ったのと、「FinTechで生活がどう変わるか」という消費者目線の考え方は多くの人に有益な知識だと思いました。
ここから本の紹介
◆コア部分
FinTechとは何か
FinTechとは「Finance:金融」と「Technology:技術」をかけあわせた造語であるが、カタカナでは「フィンテック」。そもそもフィンテックは最近になって突如として生まれた言葉でも概念でもない。銀行やコンビニに設置されているATMもフィンテックである。
しかし最近日本で急速に注目されている「フィンテック」は、以前の「フィンテック」と意味合いが異なり、我々の生活や社会全体を大きく変えうる金融サービス、またはそのようなサービスを提供する新興企業(スタートアップ企業)のことをいう。
◇FinTechの定義:金融とIT(情報技術)の融合によって生まれた、新しい金融サービス
◇FinTechを提供する企業:フィンテック企業
FinTechのサービスは大まかに2種類
A 従来からある金融サービスが進化・発展したもの
B フィンテックの発展により誕生した、まったく新しい金融の価値「ビットコイン」
これからそれぞれを紹介していきたいと思います。
A 従来からある金融サービスが進化・発展したもの
①融資
クラウドファンディングや、スタートアップ企業が直接借り手に融資する形態などがある
②決済
クレジットカードの決済サービスを店舗などに導入する場合、専用のカードリーダーが必要だ。その導入にかかる初期費用は、従来なら10万円から数十万円になるという。しかしフィンテック企業を利用すると、実質無料で導入できる場合がある。
また、販売から入金へと現金化されるまでのタイムラグは、最短でも30日、ことによっては60日もお金が寝てしまっていたが、最短翌日で売上代金を入金するフィンテック企業が登場し、ユーザーを奪いつつある。
③送金
送金したい人同士をマッチングさせるプラットフォームを提供するフィンテック企業が登場。通常だと手数料が送金総額の5%程度取られるが、フィンテック企業を利用すれば最大でも0.5%程度で済む場合がある。
④投資
ロボアドバイザーのサービスに注目が集まっている。投資家が投資経験や下落時の考え方などいくつかの質問に答えるだけで、投資家の属性にあったポートフォリオを提示。またそれに沿ったETFなどを投資金額の1%程度の手数料で提供する。
⑤情報管理
PFM(Personal Fiancial Management)と呼ばれる自動家計簿サービスをいう。従来、家計簿はノートにつけたり、エクセルにインプットしていた。そこえフィンテック企業が既存の金融機関と連携し、カードの支払いや銀行の入出金などを自動で計算し、見える化するサービスを生み出した。
またスマホ内蔵カメラの発達の影響も大きく、レシートを写真に写すだけで、ガス料金、電気料金などを自動識別して公共料金カテゴリーに振り分けてくれる。
なおこのような情報統合サービスは、その前提として自動家計簿サービス(アプリなど)が既存の金融機関と情報を連動させている必要がある。この連動させるためのシステムに関する規格のようなものをAPI(Application Programming Interface)といい、フィンテックでは注目を集めるテクノロジーのひとつ。
⑥業務支援
PFMの法人版、クラウド会計。
⑦その他
保険、不動産、セキュリティ、金融に特化したメディアなど、幅広いフィンテックが存在する。
B フィンテックの発展により誕生した、まったく新しい金融の価値「ビットコイン」
ビットコインの表現として良く引用されるのは、Marc Andreessen氏の言葉「1975年のパソコン、1993年のインターネット、それに続くイノベーションが2014年のビットコインだ」。ビットコインは上記のような「従来の金融サービスの進化・発展系」ではなく、ビットコイン(およびそれを可能にする技術)は突然変異で生まれた「飛び地」の存在である。
bitcoin
ビットコイン(bitcoin)はオンライン上で流通する仮想通貨の一種で、通常の通貨のように支払い手段としても利用することができる場所もある。表記単位はBTC。
なお仮想通貨は数千種類あるといわれている。
MTGOX
2014年2月に破綻した、当時では世界最大級のビットコイン取引高を誇っていた取引所。
マウントゴックス事件は証券会社を思い浮かべるとわかりやすい。日本で証券会社を利用するとき、日本円を証券会社の口座に入れて株などの売買をおこなう。マウントゴックスも、ユーザーがビットコインを売却したときの売却代金や購入するための資金に加えて、ビットコインそのものも預かっていたが、それを横領した罪で社長が逮捕されている。
したがって、MTGOXはビットコインではなく、ビットコインそのもののの安全性に大きな影響を及ぼすものではない。大手証券会社が顧客の口座の金に着服しても、円などの通貨の信用がなくなるわけではないのと同様。
なお取引所に登録性を導入するなど、仮想通貨に対する規制を盛り込んだ改正資金決済法が6月25日に成立したばかり。これまでは仮想通貨を公的な決済手段と位置づける法規制はなかった。
blockchain
カタカナで「ブロックチェーン」。ビットコインの安全性を支えている技術で、暗号技術を組み合わせて構築されたもの。暗号セキュリティの技術であるため、当然ながらビットコインとイコールではない。ブロックチェーンの代表的な応用事例がビットコインというだけのことである。
ブロックチェーンの信頼性は高く、ビットコインの改ざんは今まで行われたことはない。この安全性が注目され、現在ではブロックチェーンを金融以外の分野に応用する動きも出てきている。
◆消費者目線の考え方
消費者目線、というか一般市民目線で考えると「じゃあ一体生活がどのようにかわるんですか」ということになる。
本書によると次の5つの影響が考えられる。
1.金融サービスが身近になる
モバイル機器で利用できるサービスが多くなることで、どこでも金融サービスを受けられるようになる。フィンテックによって金融業がサービス業化し、その流れのなかで事業会社と金融機関の連携が増えるからだ。何かモノを買おうとしたときに手持ちの現金もクレジットカードも電子マネーもなくても、見えない所で融資が行われ、翌月の給料で天引きされるサービスが勝手に進んでいく。
また決済領域が最終的に行きつく先は、シームレスなサービスになるだろう。テレビを見ていてほしい商品が出てきたら、そのまま購入画面に遷移しすぐに決済まで進む。街を歩いていてほしい商品を見つけたら、それを写真に撮るだけで解析されショッピングサイトを表示することができ、そのまま購入・決済を済ませられる。そんな時代が遠からず訪れるかもしれない。
ただし気を付けなければならないのは、プリセットされている金融サービスが最も効率のいい条件とは限らないことだ。金融リテラシーの高い人は、プリセットされているサービスを断り自ら適切なサービスを探すだろう。その結果、リテラシーの高い人はより安いコストで調達できる一方で、リテラシーの低い人はサービス提供者に囲い込まれていたという事態にもなりかねない。
2.金融サービスの選択肢が増える
資金調達面や資産運用面などで、今までにない金融サービスが出現する。
例えば資金調達面ではクラウドファンディングも新しい選択肢の一つだ。ある新聞記事では、中学生が興味のあるプログラムに参加しようと思ったら、費用が数十万円かかるという。自腹では難しいのでクラウドファンディングで募ったところ、資金が集まってプログラムに参加できるようになったという。
これまでの常識では中学生は融資は受けられなかった。お金がないという理由であきらめなければならなかったチャンスを、新しい金融サービスが可能にしたのだ。この事例はフィンテックに詳しくなり、さまざまな選択肢があることを知っておくことで、さまざな機会が得られることを示唆している。
資産運用面でも、前述のとおり、ロボアドバイザーがある。これまでは、限られた情報の中から株式などに投資していたが、新たな投資先に相対的に低いコストでの運用が可能となる。
3.金融サービスの選び方が変わる
一般人にとっても日々の情報収集が重要になってきている。今やオンライン上に情報の「入手先」と「相談先」は増えており、金融サービス選定時のプロセスも変化してきている。
今後フィンテックにより金融サービスの多様化が加速するなか、自ら積極的に情報を集め検討できる人が得をするシーンがこれまで以上に多くなるだろう。一方で「フィンテックなんて私には関係ない」と考える人は金融機関に囲い込まれていく。
4.金融サービスに対する守り方が変わる
金融機関と事業会社、金融機関とフィンテック企業などの提携が増えていくので、これまで点在していた情報がつながっていく。あらゆる消費行動や嗜好情報が集められてビッグデータとして分析されるようになる。
それを便利と思う人がいる一方で、自分の知らない所で自分が分析されることに嫌悪感を抱く人が出てくるだろう。加えて個人情報の漏えいリスクはつきまとう。フィンテックで人々がより金融に近づくことによって、さらにこうしたリスクがフォーカスされることになる。
5.金融サービスの未来が変わる
「デジタルネイティブ」「ミレニアル世代」と呼ばれる若者たちが台頭してきたが、今後はむしろこうしたユーザーが多数派になってくる。彼らはオンライン上において、たとえ金融サービスであろうと、サービスの使い心地やより良い条件で選び、金融機関にはこだわらない。
また、仮想通貨に代表される「デジタル化」により「お金そのものの存在意義や、リスクを仲介すべき金融業の意義についても問われていくことになりそうだ。
【ひとこと感想】
金銭的に損することを回避でき、また詐欺被害などから自分を護ることができる。
フィンテックの動向を定期的にみておくことは、金融リテラシーを高めるということと同じですね。
PISA金融リテラシー問題の分類(カテゴリ)②場面別
PISAとは、OECDが世界の15歳を対象に実施している能力評価テストです。
その科目のひとつ「金融リテラシー」を、PISA金融リテラシーと呼ぶことにします。
さて、PISA金融リテラシーでは問題のカテゴリを「分野別」、「場面別」、「プロセス別」の3つに分けています。
金融とひとことでいっても、コンビニの買い物から世界経済情勢や金銭的道徳まで幅広い領域をカバーしています。
PISA金融リテラシーではどのようなテーマを問題として取り扱うんでしょう?
世界基準で求められている金融リテラシーの分類を把握しておけば、ふさわしい副教材のアイデア整理にもなることを期待して。
今回は「場面」について取り上げます。
以下はPISA公式ページの紹介文を和訳したものになります。
誤訳はご指摘いただければ幸いです。
① 教育と職場
給与明細書、高等教育のための貯蓄、学生ローン利用のメリットとリスク、(財形のような)職場における貯蓄制度の参加などについて問う。
② 家庭と家族
家財道具や食料品の購入、出費の記録、家族イベント計画といった、家庭を営むコストに関連する金銭上の問題を問う。予算の配分や出費の優先順位づけも含まれる。
③ 個人
銀行口座開設、消費財の購入、娯楽活動の支払い、ローンや保険など比較的大きな出費を伴うことが多い金融サービスなどの事柄について、契約上の問題を問う。
④ 社会
消費者の権利と責任、国や地方に支払う税金、事業利益、消費者の購買力といった事柄について問う。NPO(非営利団体)や慈善団体への寄付など、金融上の選択も含まれる。
PISA金融リテラシー問題の分類(カテゴリ)①分野別
PISAとは、OECDが世界の15歳を対象に実施している能力評価テストです。
その科目のひとつ「金融リテラシー」を、PISA金融リテラシーと呼ぶことにします。
さて、PISA金融リテラシーでは問題のカテゴリを「分野別」、「場面別」、「プロセス別」の3つに分けています。
金融とひとことでいっても、コンビニの買い物から世界経済情勢や金銭的道徳まで幅広い領域をカバーしています。
PISA金融リテラシーではどのようなテーマを問題として取り扱うんでしょう?
世界基準でで求められている金融リテラシーの分類を把握しておけば、ふさわしい副教材のアイデア整理にもなることを期待して。
今回は「テーマ」について取り上げます。
以下はPISA公式ページの紹介文を和訳したものになります。
誤訳はご指摘いただければ幸いです。
① お金と取引
このテーマでは、お金や簡単な取引(日常の支払い、出費、コストパフォーマンスの良い買い物、クレジットカード、小切手、銀行口座、通貨)は、それぞれ形状や目的が異なるという認識を問う。
② 資金計画と管理
収入や富を得るには、短期および長期の計画と管理が必要である。
このテーマでは、金銭的な満足度を短期的かつ長期的に高めるための、収入と支出を管理する知識や能力や、収入やその他利用可能なリソースを活用する知識や能力を問う。
③ リスクとリターン
リスクとリターンは金融リテラシーで重要な分野であり、「リスクの管理・調整・抑制を行う方法」や「様々な場面における潜在的な損益を把握する方法」を特定する能力を問う。
この領域で特に重要なリスクは2種類のタイプがある。ひとつは高額医療費や定期コストが原因で支払えなくなる「金銭的損失に関するリスク」。もうひとつは変動金利ローンや投資商品などの金融商品に内在する「損益のブレの大きさ(標準偏差)としてのリスク」。
④ 金融情勢
金融界の特徴に関連した内容を問う。
「金融市場やさまざまな金融環境における消費者の権利と義務」や「金融契約から推測される主な結果」をカバーしている。また「情報源や法的規制」も関連のテーマとなる。広い意味で、金融情勢は経済環境や公共政策の変化(金利動向、インフレ動向、税制、社会福祉政策の変化)に伴う結果の理解をも包含している。